イギリス留学のこんな運用

一種のショック療法である。 本部が値下げ分を負担するという明確な加盟店支援を打ち出すことで、加盟店を奮い立たせるのである。

発注量が徐々に減り、利益も思ったより上がらなかった加盟店にとって、本部が仕掛けた積極策を活用することで、再び「やればできるんだ」という気持ちになることが大事だった。 加盟店を奮い立たせる方法はほかにもある。
陳列棚に置かれたまま数週間、数カ月、全く売れない商品が出てくることがある。 死に筋商品と言われるが、この死に筋商品が多く陳列棚に残っていると、売り上げや利益が伸び悩む原因になる。
死に筋商品は売れるはずの新製品を並べるスペースを奪ってしまう。 チャンス・ロスでもある。
ところが、加盟店側は死に筋商品といえども、自分の資金で仕入れた商品であり処分費用を負担しているから、商品を陳列棚から外すことにどうしても躊躇してしまう。 こうしていると加盟店側は縮小均衡に陥る傾向になる。
S本部は93年、商品陳列棚の新陳代謝を促すため、本部負担で死に筋商品の買い取り処分に踏み切った。 94年、コンビニ業界で初めて朝、昼、夜と生活時間に合わせた弁当の品ぞろえに取り組んだ時にも、本部主導の営業支援を行った。
テレビCMで朝、昼、夜に「S」の弁当の品ぞろえが変わることをアピール。 この画期的な施策についていくためには、加盟店は3パターンの生活時間で異なる弁当の発注を心がけなくてはいけなかったが、きめ細かな発注業務が不慣れだったため、売れ残りを恐れて発注量を抑えることが予想された。
そこでS本部は売れ残った弁当の廃棄損も期間限定で負担した。 加盟店は失敗を恐れず、生活時間に合った弁当の発注に挑んだ。
結果としてテレビCM通りに朝、昼、夜と異なった弁当が並び、しかも売り上げ、利益ともに向上した。 S本部が主導権を発揮して加盟店の活性化策を次々と打ち出し、加盟店の売り上げが伸び、利益が増加することを身をもって実証すれば、加盟店の自信にもつながる。
こうした施策はFC契約であらかじめ約束したものではない。 しかし、加盟店に例外なく支援策を行き渡らせることで、平等、対等の精神は崩さずにいるのである。
素人集団による本格的なコンビニエンスストア「S」の誕生は、流通業界の常識との戦いであると同時に、試行錯誤を繰り返し常識を一つひとつ覆していくうち、日本に新たなビジネスモデルを構築することになった。 創業時から続く例外を認めず原理原則を貫く経営姿勢こそが、FCビジネスであるS経営の根幹なのである。

東京・JR四ツ谷駅近くにS本社が入居するビルがある。

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